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テルイ タカヒロさん
シニア世代専門の美容師の第一人者として「えがお美容室」に勤務。
年齢を重ねた人の髪の悩みを聞いて、顔立ちや髪質に合うヘアスタイルを提案してくれる。
──巣鴨にこんなにオシャレなヘアサロンができていたなんて驚きました!
ここはシニア世代専門のヘアサロンとして、2019年4月にオープンしました。
50代以上のお客様が多くいらっしゃいます。
スタッフは6人いて、20〜30代が中心となっています。
──シニア世代の髪の悩みって、とてもいろいろあると思うんですが・・・
年代ごとにありますね。
なんとなく今までと違うな・・・と感じ始めるのが50代です。
髪については、白髪が増えた、うねりが出てまとまらないといった悩みが中心です。
60代はそれがさらに進んで、フェイスラインが細くなってくる方が多い印象です。
髪も細く痩せてきて、分け目が目立つ、つむじが割れるといった悩みが出てきます。
70代以降は、それがよりはっきり出てきます。
たとえば、こめかみの下が頬骨の下が凹んできて、なんとなく骨格(頭蓋骨)が見えてくるというか・・・。
髪もさらに細く少なくなり、地肌が透けて見えてくる方が多いです。
年代ごとに多い髪の悩み・まとめ
50代
・なんとなく今までのヘアスタイルが似合わない。
・自分に似合うヘアスタイルがわからない。
・白髪が増えた。
・うねりが強くなってまとまらない。
60代
・髪が細くなり、フェイスラインも細くなってきた。
・分け目が目立つ。
・つむじが割れる。
70代〜
・骨格が露出してきたような印象。
・髪がさらに細く少なくなって、地肌が透けて見えてきた。
※参考
取材後、頭の骨の変化に関するデータを見つけました。
60歳以上の女性は急激に頭蓋骨の骨密度が低下するそうです。
Transcranial Doppler法 に お け る 頭 蓋 骨 骨 塩 量 に 関 す る 検 討
(岐阜大学脳神経外科・土岐市立総合病院脳神経外科)
──テルイさんの本(「髪型を変えれば若返る! シニアビューティヘア」テルイタカヒロ著・講談社)を拝見して衝撃を受けたのは、横から見たフェイスラインの変化です。
あごから首にかけてのラインが年齢とともに変化するので、横から見たヘアスタイルも重要になってくるんですね!
年齢を重ねると、つむじまわりのボリュームがなくなってきます。
それに対して、襟足のほうはボリュームが変わらないので、顔のたるみが強調されやすくなってしまうんです。
頬骨から上の部分にボリュームを持たせて、横から見た時に逆三角形のフォルムにすると、下にたまりやすいボリューム感を解消することができます。
──骨格のタイプごとに似合いやすいヘアスタイルを教えていただけますか?
はい。髪質や顔立ちにもよるのですが、傾向としては、だいたい次のようになります。
★小顔
フェイスラインを髪で覆ってしまうと、顔がより小さくなる。
Before
特に年齢を重ねた方の場合は、前髪やトップを少し立ち上げたり、サイドを流したりして顔が前に出てくるような印象にすると似合いやすい。
顔が小さい方は、サイドの髪を耳にかけて耳を出すと、リフトアップして見える場合がある。
After
★丸顔
ふくよかになってくる方の場合は、縦長のヘアスタイルにするとバランスがよくなる。
縦長に見せたい場合は、前髪をふわっと上げるなどして額を少し出すと効果的。
タイトすぎたり、ぺたんとなりすぎると“老い”を感じさせてしまうので、トップにボリュームを持たせて高さを出すことが大切。
トップにボリュームがあれば、前髪を下ろしながら額を少し見せるとか、ミディアムでフェイスラインに少しかかるようなヘアスタイルもいいのでは。
★面長
丸顔の方とは逆で、前髪のあるスタイルが似合う。
縦のラインは面長を強調するので、ロングヘアは避けたほうが無難。
長くてもセミロングかミディアムに。
長さがあるとぺたんとしやすいので、ストレートは不向き。
レイヤーやパーマヘアでサイドにボリュームを出すと、面長をカバーすることができる。
(横に広げることで、縦の印象を弱める)
★エラが張っている
Before
フェイスラインにかかる長さはあったほうがいいが、髪でエラを隠そうとすると下にボリュームがたまって、たるみが強調されやすい。
After
エラより上(頬骨の延長線上)にボリューム感を出して、目線をエラから上にいくようにすると気になりにくくなる。
★ハチが張っている
基本的にはトップとサイド(真横)にボリュームを持たせつつ、ハチの部分は下げる(膨らまないようにする)と菱形に近いフォルムになるので、ハチの部分が目立ちにくくなる。
トップ(左右の黒目から上の延長線上)にボリュームを出すつもりでハチの部分にカーラーを巻いてしまうと、逆にハチが強調されてしまうので、カーラーを使う時は巻く位置に気をつけて。
──次に、髪の色やスタイルによる“違和感”についてお聞きします。
たとえば、年齢を重ねてからのボブスタイルやワンレングス、ロングヘアは違和感が生じやすいイメージですが、なかには似合う方もいますね。
どれも下のほうにボリュームがたまりやすいので人を選ぶヘアスタイルですが、ロングヘアが似合う方はワンレングスも似合う傾向があります。
ロングが似合う方でもストレートだと違和感が生じやすくなってきます。
Before
そこでウェーブパーマをかけたり、前髪をふわっと立ち上げたりして、軽さを出すといいと思います。
After
──最近はグレーヘアにする方も増えていますが、ありのままのグレーヘアが素敵に見える方と、染めているほうが素敵に見える方がいると感じています。
グレーヘアが人気を集めている背景には、“若返り”ではなく、ありのままの自分を見せながら素敵でいたいという志向があるんです。
グレーヘアで素敵に見えるようにするにはメイクやファッションに気を使う必要があるので、ハードルは高めですが、あえてそこに挑戦する方が増えているんです。
──それは今までになかったシニア像です!
ただ、好きで憧れる色やスタイルと、似合う色やスタイルが同じとは限らない。
方向を間違えると“若作り”や“老け見え”につながってしまう恐れがありますよね。
髪の質やボリュームが変化してきているので、それを踏まえたスタイルにしてもらえないと素敵な感じにならなくて、ものすごいショックを受けてしまいます。
そうですよね、年代ごとの変化を踏まえた提案ができるヘアサロンがまだ少ないんだと思います。
一人ひとりに似合うスタイルを見つけるには、顔立ちや髪質を理解することが必要です。
「髪型を変えれば若返る! シニアビューティヘア」は美容師さんにも役立てていただけるように書いています。
技術的なことを言えば、何よりも大事なのが顔まわりのフィット感です。
どんなヘアスタイルでも、その人の顔立ちになじんでいれば“違和感”は生じません。
今後も『えがお美容室』のノウハウを蓄積していって、より具体的に理論立ててまとめられたらと思っています。
──お忙しいなか、きめ細かいアドバイスをありがとうございました!
東京都豊島区巣鴨3-20-14 山下ビル2F
予約:03-5980-7522
1つ1つの席を離れた場所に配置するなど、パーソナルスペースにも配慮した美容室です。
シニア世代専門のセレクトショップ(写真)も併設しています。
管理者プロフィール
@over50_wig
ライター/エディター
編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立。大手新聞社の月刊誌などで医療・健康分野を中心に取材活動を続けた後、現在は文化系法人専属の編集者。近年は20〜30代のクリエイター取材にも取り組んでいます。
生まれつき強いくせ毛。年齢とともに髪が細く広がるようになり、雨と風の日はファッションウィッグを使用。介護施設で美容ボランティア(洗髪後のドライヤー係)、ウィッグサロンで販売と相談業務の経験あり。