新規感染者数は減ってきたものの、まだまだ気が抜けない新型コロナウイルス。
なかでも恐ろしいのが、”サイレント肺炎”。
さっきまで普通に会話していた人が、みるみる悪化して人工呼吸器が必要なほどになるという話です。
■呼吸器疾患があっても、血中酸素飽和度は標準値 という事実
私はぜんそく持ちなので、呼吸機能が低下したときの苦しさをよく知っています。
テレビで伝えている通り、医療の現場では「血中酸素飽和度を指先で測って96%あれば問題なし」とされています。
が、私がぜんそく発作を起こしたときに測ってもらったら、98%ありました。
ぜんそくよりしんどそうな肺気腫を患っていた義父は、97%。
息苦しくて、階段を上り続けたり、全速力で走ったりはできません。
でも、自転車に乗って買い物したり、エレベーターやエスカレーターを使って通勤したりは、できなくない。
この状態が標準値の「96%以上」に含まれているのです。
ちなみに、かかりつけの呼吸器科の先生はパルスオキシメーターは使いません。
問診と聴診器だけで発作を起こしているとわかってくださり、「すぐに点滴しましょう」と言ってくださいます。
が、呼吸器疾患に詳しくない看護師さんだと、こうはいきません。
パルスオキシメーターを出してきて「96を切ってないから何でもないでしょう」と言われ、「このていどで病院に来られると迷惑なんだけど」と言いたげな顔をされたときは、腹が立ってしょうがありませんでした(このときは夜間外来に行ったので、専門医がいなかった)。
新型コロナのニュースを見ていても、「急激に悪化」というフレーズを耳にすることが多く、呼吸機能の低下は呼吸器科の医師でないと判断が難しいのではないかと感じているところです。
■手遅れになりそうな「コロナ受診のめやす」
ある番組で、コロナ受診のめやすが紹介されていましたが、これにも疑問を覚えました。
それは、「唇の色が紫色になったら急いで受診する」という項目。
この状態は「チアノーゼ」といって、喘息の場合では「重篤」の一歩手前の段階に分類されているのです。
そんなところまでいってからでは手遅れになる可能性だってあるし、運良く死を免れても回復するまでに時間がかかってしまいそうです。
どんな病気にもいえることですが、体調の変化に自分で気づいて早めに受診し、効率よく検査・診断を受けることが大事だなと思っています。
前置きが長くなりましたが、そこで習慣にしたいのが、体調メモ。
私は特に気になることがなくても、できるだけ毎日つけるようにしています。
病気になってからではなく、なる前からつけることが大事なのです。
■体調メモのつけ方
方法は簡単。
スマホのメモアプリに、日付と気づいたことを書き込むだけです。
特に問題がない限りは、体重・体脂肪率のみ、血圧のみでもかまいません。
他に、どこかに痛みがある、熱がある、咳が出るなど、何か気になることがあれば箇条書きで記録します。
■体調メモのメリット
・体の微妙な変化に早めに気づくことができる。
・病院を受診するとき、いつ、どんな変化があったかを医師に伝えることができる。
→漠然とした情報しかないのと比べて、診断が早くつきやすい(無駄な検査を受けたりしなくてすむ)。
・どんなことがきっかけで発症、悪化したかを推察しやすくなる。
・1か月、半年、1年の記録を通して、症状のサイクルや経過を知ることができる。
■気になることがあれば、関連することもいっしょに記録する
・新型コロナが心配
→熱、咳、息切れ、だるさなどの異変があればすぐ記録。
(熱は自分の平熱よりも高くなった段階で記録)
コロナの可能性がありそうなら、出かけた場所、会った人も記録。
・目の疲れ、ドライアイ、まぶたのけいれんが続く
→テレビやパソコンよりも、スマホの使用時間を記録してみる。
・頭痛や関節痛を繰り返している
→天気(気圧が下がるとき)を記録する。
・花粉症が悪化している
→どんな場所に出かけたかを記録する。
・体脂肪率や血糖値が心配
→数値と、食べたものを記録する。
・血圧が高め
→数値と、仕事や家事の忙しさ、睡眠時間、運動量などを記録する。
・腰痛持ち
→どんな動作をしたかを記録する。
・更年期
→生理の始まりと終わり、不正出血などを記録。
このほか、痛み、かゆみ、不眠、動悸、めまい、気分の落ち込みなど、それまでになかったことはなんでも記録しましょう!
私は今年になって初めて「心臓がバタバタする」という症状を経験しました。
すぐに治まりましたが、不整脈かな? ちょっと怖いです。
■体調メモがあれば、パニックを防げる!!
最も大切なのは、単にメモするだけでなく、医療従事者にメモの情報を提供することです。
問診票に、メモの内容を書き写すだけでもOKです。
これは、医師が問診によって患者から情報を引き出す手間を省くことにもつながります。
・病院を受診する場合、検査や診断の効率が上がる。
・被災して避難所で生活する場合、カルテなしでも適切な処置を受けられる可能性がある。
私が体調をメモするようになったのは、ぜんそくが悪くなったときにたいへんお世話になった専門医の先生から、毎日の健康状態を記録するよう指導されたことがきっかけでした。
おかげで呼吸機能低下のきっかけになりやすいことを自分であるていど把握できるようになり、管理がしやすくなりました。
定期的に受診するときも、「風邪をひいたあと調子が悪くなりましたが、今は大丈夫です」などと、簡潔に伝えることができるようになりました。
自分からは何も情報を提供せず、医師に聞かれることを答えるだけだと、しなくてよい検査を受けることになったり、逆に検査が必要な状態なのにスルーされて終わるようなことがあるかもしれません。
今は新型コロナウイルスがいちばん気になりますが、ワクチンや治療薬がいまだにない感染症は、他にもいろいろあります。
なのでコロナに限らず、咳や頭痛、息切れ、動悸などなど、いつもはないような症状が出たら、必ずメモする習慣をつけておく。
体温は「37.5℃以上」ということではなく、自分の平熱を把握して、それより高くなったら記録することが必要だと思っています。
そうすれば、いつ頃に発症したか、医師が当たりをつけることもしやすくなります。
ふだんからメモをつけておき、その内容を自分から伝えるということは、医療に従事する方々の労力を軽減することにもつながると思っています。