人生の折り返し地点といわれる50代。
副業、転職、独立などを考え始めた人も多いはず。
そこへ「やあやあ」と若い世代が攻め入ってくる。
生まれつきのデジタル世代 vs 途中からデジタル世代。
しかも視力・記憶力の低下というハンデつき。
日々、自信を打ち砕かれていませんか?
私は砕かれています。
そこで今回は、(1)自信喪失からの回復法と、(2)自分の強みをさらに磨く方法についてまとめてみました。
乾いた砂が水を吸うように
新しいことを覚える20代。
吸収力なく格下げされる50代
50代でもまだまだ新しいことにチャレンジしたい!
と、やる気に燃えていた頃、知人の誘いで始めたのがエンターテインメント業界のアルバイト。
接客に向いていると言われるタイプなので、できるできる!とやってみたら、はなから無理でした。orz
歌舞伎や舞踊などの公演を観に集まる1,000人近いゲストを迎え、会場案内をするのですが。
建物の構造、設備や店舗の位置、座席番号の並びなどが会場によって全然違う(グッズ売り場など、日ごとに変わるものもある)。
開場するやいなや、無数の老若男女に囲まれ、トイレの場所、ロッカーの場所など、一度に全方向からいろいろなことを聞かれます。
同時にチケットを忘れた、なくした、体調が悪いなどの訴えも。
対応のしかたを瞬時に判断し、捌き続けるお仕事なんですね。
で、「今日はお弁当の引き換え券を持った団体さんが何名、車椅子の方が何名、役者さんのご家族が見えるから何番のお席にご案内」とか、その他諸々・・・
毎回、膨大な情報を頭に入れたうえで各ポジションにつくのですが、現役の学生や20代の若手がすぐ覚えられるのに対し、私や私と同年代の新人は、漏れなくメモしてもなかなか覚えることができない。
経験を積めばできるようになるはずですが、若いバイトが優先的にシフトに入れられ、私たちover50の新人は予備人員に格下げ。
経験を積む機会が得られないから、仕事ができるようにならないのです。
この年になって「できない人」の烙印を押されることは心理的に耐え難く、1人また1人と離脱。
先頃、私もまた離脱を決意したのでした。
※舞台裏の張り詰めた空気に直に触れられたことは貴重な経験になりました。
まるで長〜い琴線をピーンと張ったかのようでした。
ドンマイ。単なるミスマッチ。
だけど傷ついた心はケアしてこう!
50代で全く経験のない業種、業界に挑むと、こういう経験をする可能性もあるわけです。
私の友人も、「コロナ禍で家にこもっているとメンタルに良くない」と久々に新しいアルバイトを始めたところ、「思ったように覚えられない」という経験をしてだいぶ落ち込んでしまったようでした。
こんなときどうするか。選択肢は2つです。
(1)できるようになるまであきらめない。
(2)仕事を変える。
どうしてもやりたい、できるようになるまでやり抜くという強いモチベーションがあれば、何歳だろうと頑張れるものです。
が、そうでない場合は引き際が肝心。
しがみつくだけ時間の無駄です。
離れたら、まず傷ついた心を回復させることが大事です。
私の経験上、傷ついた状態を放置すると、うつ症状につながると思っています。
元気いっぱいの若者なら平気かもしれない。
でも50代は違います。
若い頃は軽いケガを放置してもすぐ治っていたのが、今はなかなか治らない。
下手をすると悪化して重症化してしまう。そんなイメージですかね。
元気を取り戻す方法として手っ取り早いのは、自分のスキルや持ち味が真に必要とされている場所に戻ること。
それだけに集中すること。
人から求められることを積極的に引き受けて、よい結果を残すこと。
たった1回でも自己肯定感が回復しますし、回数を重ねれば幸福感が得られるようにもなります。
ちなみに今回は、落ち込んだタイミングで本業の仕事の依頼が新たにいくつか入り、早々に自信を回復することができました。
自分よりずっと年下の人から「またぜひ一緒に仕事がしたい」と言われることが、こんなに嬉しいことだったとは・・・
メールを読んだ瞬間、どっと涙が溢れそうになりました(と書いている今も目頭が熱い)。
若い世代とのギャップを感じる局面も増えてきて、そろそろ引退したいという気持ちとのせめぎ合いもありながらの日々。
いつ「廃業宣言」しようかと揺れ続けてはいるものの、「フリーランスの50代女性で仕事がまだある人は珍しい」と言われることがあるので、ご依頼に「内心、Thank you」です。(by THE東南西北)
再び”人生の棚卸し”。
人の笑顔を思い出せ!!
収入アップ、スキルアップを目指してがむしゃらに働いてきた過去。
自分なりにやり切った。
だから50代以降は、本来の自分を取り戻したい。
そんな思いが年々強くなっています。
が、長く生きてきたからこそ本来の自分とは何なのかわからなくなっていたりする。
もっと発揮できるはずの潜在的な持ち味やスキルって何なのか、自分ではわからなかったりします。
”人生の棚卸しシート”に書き込むことで自覚できたつもりでしたが、自分に全く向かない仕事をやってみて初めてわかったことがとてもたくさんありました。
職歴、資格、特技、趣味、夢などをざっと書き出すことよりも、棚卸しによいのは”人の笑顔”です。
自分が言ったことやしたことで、人が笑顔になった瞬間。
それをドラマの1シーンのように脳裏に浮かべてみる。
ありがとうと言われたことより、本気の笑顔で「すごい!」「うれしい!」と言われたこと。
人を笑顔にできるって、じつはものすごいことなんです。
特に今は、先行きが不透明で誰もが不安を抱えている時代ですから。
バブル期のようにみんながみんな、馬鹿みたいに浮かれ歩いていた時代じゃないですから。
思い出せる限り思い出してみます。
ちょっとうれしい笑顔じゃなくて、心底うれしいキラッキラな笑顔です。
「ありがとう、すごくうれしい!」
「本当に助かったよ〜」
「やっぱりあなたに頼んでよかった〜」
「あなたってすごいんだね!」
そんな言葉も同時に思い出されるかもしれません。
で、分析を重ねていきます。
・繰り返し人から頼まれること。
・「すごい」「なかなかできないことだ」などと褒められること。
・よく人から相談されること。
「いったい自分の何が喜ばれているのか?」が少しずつ見えてくる。
自分の言葉なのか、技術なのか、緻密さか、体力か、素早さか、単にいるだけで喜ばれているのか・・・。
それは自分の持ち味で、武器になり得ることなのです。
自分がやりたいこと、できることを
とことん、めいっぱいやる
何も頼んでもらえない、相談されない、労働力扱いされないというのは、少なくともその職種や環境では役に立てていないのです。
モチベーションが低下したなら潔く去ることです。
自分の持ち味やスキルを棚卸ししたら、それをどんな環境で、どんな人のために生かしたいかをイメージしてみる。
お笑い芸人かもしれないし、クリエイターかもしれない。
ボランティアスタッフかもしれないし、デスクワーカー、販売員かもしれない。
そこで人を笑顔にしている自分が強くイメージできるようなら、おそらくそれを実現するのは難しくないはず。
仕事に限らず料理やガーデニング、楽器演奏、カラオケなど、自分が好きで得意なことをして人を喜ばせることができるなら、その笑顔を見るだけでも自己肯定感が保てるに違いありません。
それは別次元の幸福感につながっていくと思っています。
管理者プロフィール
Kamiyama
ライター/エディター
編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立。医療・健康分野を中心に取材活動、コピーライティングを続けた後、現在は文化系法人専属の編集者。また、さまざまな実用書のディレクションにも携わっています。