50代も半ばを迎えると、定年を迎える前に転職や独立をする人が出てきます。
メリット、デメリットを実例も交えて考察してみます。
50代で転職・独立する理由
・会社が倒産または業績不振などでリストラの対象となってしまった。
・体調不良やモチベーション低下などにより、会社勤めができなくなった。
・老後も収入を得たいので、定年がない職種や働き方にシフトしたい。
・頭と体が動くうちに新しいことに挑戦してみたい、若い頃にできなかったことをやってみたい(私の場合はここに該当)。
・キャリアアップ、収入アップのため。 など。
転職後の収入
もともとバリバリのキャリア系で計画的にキャリアアップを図るケースを除き、50代で転職・独立した場合の収入はそれまでよりも下がるようです。
が、会社勤めのままで雇用延長があるとしても60代になれば収入が減るわけですから、定年という雇い止めがあるかないかで考えたほうが現実的かと思います。
独立はリスク大!
新しいことに挑戦するなら収入は維持
以前、私が参加した起業塾でも講師の方が言っていました。
「個人で起業するにはリスクが大きすぎる時代。
会社を辞めずに副業から始めて、軌道に乗ったら独立すればいい」
収入が維持できていれば、新しいことを始めるリスクも少なくてすみます。
40代なら、生き方を変える選択もあり
40代なら現状維持よりも「自分にとってよりよい生き方とは?」という視点で突き詰めたほうが、幸せな選択につながる気がしています。
つい最近、同業者の友人(40代半ば)が会社(有名IT企業の出版部門)を辞めて、パートナーが住んでいるニューヨークへ行くことにしたという話を聞きました。
向こうで仕事を見つけたのかと思いきや、全くの白紙だそうです。
とりあえず行ってから英語を学び、仕事を見つけるつもりだと。
拠点を移すことがこれまでの生き方を変えるきっかけになると考えているのです。
もともと聡明で仕事ができる人なのであまり心配なさそうです。
銃社会と人種差別は心配ですが・・・。
最低賃金の仕事でワーキングプアに陥る
業務独占資格や専門スキルがない場合、50代以降の転職はかなり難しくなっています。
それでも収入がないよりはまし、ということで非正規・最低賃金で働くとどうなるでしょうか。
健康保険や年金などを納め、家賃や光熱費などを支払うと、果たして手元にお金が残るかどうか。
いつまでも最低賃金で働き続けると、ワーキングプアに陥る可能性があります(実際、フリーランスになって間もない駆け出し時代の私がそうでした。泣)。
これを避けるには2つ、3つの仕事を掛け持ちして働く必要があります。
体力がある若いうちはなんとかなりますが、50代以降は働きすぎて体を壊したら回復にも時間がかかるでしょう。医療費が心配です。
50代で転職した後、無職になるケース
50代でも転職したり、新しいことに挑戦したりすることは可能です。
が、若い頃とは違うハードルがあることに気づくでしょう。
それはプライドです。
新しい職種や新しい職場では、何もかもがわからないことだらけです。
どんなキャリアがあろうと、そこではただの新人です。
新人だから丁寧に指導してもらえるかと思いきや、自分よりも若い人から注意されたり、場合によっては「できない人」扱いされたり・・・という現実が待っています。
大企業に勤めていたような経歴があり、なおかつプライドが高い人の場合、ここを乗り越えられない可能性があるのです。
以下も実際に身近にある話です。
大企業に勤務し続け、50代でリストラに遭った
→収入を得るために転職
→新しい仕事や職場に馴染めず転職
→移った先でも同じことでつまずく
→同じことの繰り返しで少しずつメンタルを病んでしまう
→働けなくなり無職
早めに定年を迎えただけだ、という話ですむならいいですが、生活のために収入が必要なのに働けないとなれば生活保護かネットカフェか、はたまた・・・という可能性があり、これは決して他人事ではないのです。
できない自分を自覚しつつ、自己肯定感を失わないようにする
部下や新人を指導する立場になっている年代なのに、その自分が新人扱いされたり、部下であるはずの年代から指示をされたりするというのは大変な衝撃です。
さほどプライドが高い方ではない私でも、Wワーク先ではかなり不快な思いをしました。
もともとプライドが高い人の場合は耐え難い苦痛のようです。
が、年をとってから新しいことに挑戦するなら、これを乗り越えるしかないのです。
どうしたらいいでしょうか。
(1)自分は確かにそこでは新人であるという事実を認識する
新人だから他の人と同じようにできないのは当然。
が、経験を積めば必ずできるようになるという自信を持ち続ける。
(2)若い人を頼る
視力、記憶力、反射神経、忍耐力など、さまざまな力が20代や30代の頃より低下している。
それを自覚した上でとにかく頑張りますという姿勢を見せて、若い人からも教えてもらう。
体力的に無理なことは若い人を頼る。
ここまで読んでそんなことは絶対に無理だ、屈辱だ!と思うような人は、新しいことに挑戦するという考えを捨てたほうが賢明かもしれません。
上司やエキスパートとして持ち上げてもらい続けるほうがメンタルによいのは間違いないです。
あきらめれば挫折経験
できるまで続ければ成功体験になる
現在、私がWワークとして少しだけ携わっている仕事は一度に1000人近いゲストを出迎えて動線をコントロールするという、私には全く向いていない仕事です。
できる範囲で続けてみたいと思っています(あくまで理想)。
そのために、次のようなことを意識しています。
知らないことは「教えてください」と口に出してお願いする。
言われたことをメモして繰り返し読む(記憶力が低下しているため)。
頑張っても無理だと思ったことは率直に伝え、働き方や配置を変えてもらう。
さらに年の功として、小さなことで悩んだりイライラしたり、人と張り合ったりしない。
同年代の人たちと話し、適度に愚痴をこぼす(ストレスを抱え続けない)。
50代ならではの懐の深さやゆとりを漂わせるよう意識する。
何より大事なのは、若い人たちを見下さないこと。
年代を問わず、人を尊重すること。
これを意識して頑張っていたら、最初は言い方がキツめだった人たちも最近はやさしい言い方をしてくれるようになってきました。
どんな仕事にも学びがあり、人として成長していける
自身の経験から感じているのは、50代以降に特に向いているのは、経験値にもとづく適切な対応やコミュニケーションが求められる職種ではないかと思っています。
たとえば50代の警備員やタクシー運転手の方で、特定の企業から指名をもらって仕事をしているという話を聞くことがあります(実際にご本人から聞いた話です)。
要求が多いなど難しいお客様に対しても対応や会話がうまく、クライアントからの信頼が厚いことによるようです。
ある警備員さんはアイドル事務所といえばあの、という企業から指名が来るそうで、日曜でも呼び出されるから大変だと言いつつ、誇らしげでした。
収入も上がったに違いないですし、自尊心も満たされているに違いありません。
どんな仕事にも学びがあり、人として成長していけるということを忘れずに、プライドを捨てて頑張ることができれば、結果としていろいろなものがついてくるということかもしれません。
管理者プロフィール
@over50_wig
ライター/エディター
編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立。大手新聞社の月刊誌などで医療・健康分野を中心に取材活動を続けた後、現在は文化系法人専属の編集者。近年は20〜30代のクリエイター取材にも取り組んでいます。
2022年6月から副業で伝統芸能の公演お手伝いを少しだけ(月に数回)しています。