子育てや介護といった事情から、50代・未経験・在宅でできる仕事を探している人は少なくないと思います。
個人起業家向けのビジネス誌で取材をしていた経験や、私自身の経験をベースに、可能性を調べてみました。
ネットで見られる実例として、次のようなものがあります。
※契約・販売のノルマがあるものは除いています。
□パーソナルカラーやパーソナルスタイリストの勉強をして起業。
□整理収納の資格を取って起業。
その他として、士業、ライター、占い師など。
起業じたいは誰でも、何歳でも、することができます。
難しいのは、継続して利益を上げ、事業として発展させることです。
副収入を得たい場合
・ウェブライター
いま巷ではライター養成講座が大人気だそうです。
ウェブライターの仕事は、依頼された文字数・内容でひたすら原稿を書くというもの。
50代以上でもけっこう求人が出ています。
が、調べてみると
ウェブライターの報酬は、プロの相場からすると桁違いに安いです。
講座を申し込む前に、まずは報酬を調べてみてください。
趣味や本業で極めた知識やノウハウがある方は、ウェブライターというよりも”書ける専門家”を目指すほうがまともな収入が得られるでしょう。
たとえば医療/保険/株(投資)/不動産/技術職のような分野です。
ただし本業で得た情報を外部に出すことは禁じられているはずなので、副業で考えているなら難しいかもしれません。
・隙間時間を使って家の近所で働く
いま注目されているのが簡単な仕事を仲介するサービス、”ご近所ワーク”。
隙間時間を使って、自宅の近くにある駐車場点検や商品陳列のような作業をし、ちょっとした収入を得ることができます。
注意点:
「発注者との委託契約」と書かれているので雇用形態としてはグレーです。
たとえば就労中にケガをしたとしても労災の対象にならず、何かトラブルが起きた場合には自分が責任を負うことになる可能性が高いです。
面倒なトラブルに巻き込まれた場合、いろいろと良くない展開が考えられるので、私がやるとしたら自宅周辺は避けると思います。
・エキストラ
時給2000円ぐらいで単発の仕事ができます(50代以上の求人がどのくらいあるかは調べていませんが)。
私も若い頃、友人から頼まれてその他大勢が映る1シーンに出演したことがあります。
そのときは報酬はなく、お弁当だけだった気がします。
が、メイクさんやスタイリストさんの仕事ぶりが見られたり、友人たちと激変した姿(ふだんならあり得ない派手な衣装やヘアメイク)をお互いに見て爆笑したりと、とにかく楽しかったことを覚えています。
会社勤めをしながら空いた時間にエキストラをやっているという男性から聞いた話では、死体のように雨に濡れたり、水に浸かったりする役はギャラが少し高いとのことでした。
・シニアモデル
ファッションモデルではなく、CM出演でニーズが増しています。
保険や不動産ローンのCMをイメージしがちなのですが、健康食品・ダイエットサプリ・白髪染めなどの求人が多いそうです。
カメラ慣れや演技力が求められるので、研修を受けさせる事務所もあります。
報酬は案件によって異なりますが、時給1000円のような仕事と比べればかなり高めとなっています(それだけに競争率も高い)。
体験談を語るようなCMでは顔を出せる人が歓迎されるそうです。
ぽっこりおなかや、ありのままの白髪を出したりできる人は少ないので、大歓迎されるそう。
顔を出さなくてもいい求人もありますが、その場合はオーディションの競争率が一気に上がるそうです。
未経験からの起業で成功を目指す場合
・講師
近年、女性の起業で目立つのが、”教える仕事”です。
整理収納/終活/料理/ソーイング(洋裁)/服選び(パーソナルスタイリスト)など。
特に、プロとして起業を目指す人のための講座は人気が高いです。
人気講師から学んだ人が弟子として起業し、同じように講師になることを夢見ているのです。
これは資格ビジネスと同じで、”夢”を商いにするものです。
受講生が多いということはライバルも多いし、レッド・オーシャン化しやすい、ということでもあると思うのですが、夢を持って頑張ることは素敵だと思います。
個人起業家が成功を目指すなら、SNSを利用してインフルエンサーになることはもはや不可欠です。
副業レベルでもよければ動画サイトなどで地道にファンを増やしていってもいいかと思います。
私がとても驚いたケースとして、50代以降で未経験から理容師や美容師になった方がいます。
(その後、体力的な問題から経営に回られている方もいる)
年齢が専門学校の受験資格に適合していないので、通常は受験することじたいができません。
このような方々のエネルギー、思いの強さには圧倒されます。
これから起業する人が避けたほうがよいこと
□いきなり独立すること(本業の収入を確保しながら副業として始めたほうがよい)
□小売業(モノ余りの時代なので)
□開業資金がかかりすぎる事業(リターンが期待しにくい時代なので)
□運転資金が少ない状態での起業
上記は数年前に受けた起業セミナーで教わったことです。
講師いわく「本音を言えば起業じたいにリスクがある時代」とのことです。
経済的リスクの低い開業法
・自宅の1階で店舗を営む(住商一体型)
・自宅の一室を利用する(整体、アロマサロンなど)
・期間限定のチャレンジ型店舗を利用する(店舗)
超低リスクでお店をやる方法
昨今はテナント物件も余り気味なので、一定の期間だけテナントを借りることができるサービスも増えています。
その老舗といえるのが7Daysというサービスです。
1日単位で3〜10坪ていどの店舗スペースを借りることができます。
「毎月の家賃を払えないかもしれない」という不安につきまとわれる心配がありません。
もちろん、借りた日数の利用料は払う必要があります。
運搬や営業に必要な什器、備品、包材などにかかる費用もすべて含めて、きっちり回収できなければ赤字です。
が、経験することじたいにたいへんな価値があります。
たとえば手作りの小物やアクセサリーを売ってみたいというような夢があるなら、赤字を出さないことを目標に、やってみるとよいと思います。
デメリット
・営業場所を転々とする場合、ディスプレイなどにかかる手間を考えると効率が悪い。
・短期間で移動してしまうので、商圏を固めることができない。
メリットが高い利用法
・お店を開いてみたい人がテスト的に販売し、商品の評判を確かめる。
・余剰在庫で困っている際や、お店をクローズする際の在庫処分に利用する。
・自分のコレクションや遺品整理で大量にモノがある場合、「昭和レトロ」「鉄道マニア」など1テーマで商品構成を固めて期間限定ショップとして販売してみる。
注意:
飲食業、古物の取り扱いなど、営業許可が必要なものは、必ず事前に許可を取得してください。
50代から始めるのが難しい仕事とは
・速さ、正確さが求められる仕事
身体機能がとうにピークを過ぎているため、要求に応えるのが難しいです。
若い頃からずっとやっていて慣れている仕事であれば、それまで積み重ねてきた信頼によって継続雇用してもらえることもあると思いますが。
在宅ワークで昔から人気がある文字校正は、近眼や老眼が始まった年代にはおすすめできません。
今はまだましだとしても、原稿を読むスピードはどんどん落ちていきますし、見落とし(誤字脱字に気がつかずスルーしてしまう)も増えていきます。
年配の校正者さんは、若い頃からお世話になっている仕事先から受注するケースが大半です。
・肉体労働
少しの運動であれば身体機能の維持に役立つと思いますが、1日に何時間も同じ場所に負担がかかるような仕事は健康を損なう可能性があります。
たとえば腰痛(運送関係)、眼精疲労(デスクワーク)、腱鞘炎(飲食業)といったものがよく聞かれます。
たとえ今は問題ないとしても、1年後、2年後も同じようにできるかということを考える必要があります。
管理者プロフィール
@over50_wig
ライター/エディター
編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立。大手新聞社の月刊誌などで医療・健康分野を中心に取材活動を続けた後、現在は文化系法人専属の編集者。また、さまざまな実用書のディレクションにも携わっています。