<病院で紹介されたサロンがあまりにもひどかった話>
先日、70代の女性からこんな話を聞いてたいへんな衝撃を受けました。
内容を要約すると
・病院から紹介されたサロン(有名なところ)に行ったら、「医療用ウィッグはこれです」と出されたものが1種類だけだった。
・70代なのにセミロングのストレートボブ。それをカットして使うんですと説明された。
・他に選択肢がないので27万円で購入したが、使えるわけがない。
テレビCMでも見るような有名な会社なので驚きました。
とてもお気の毒な話ですし、販売する側の倫理性や人間性が疑われます。
<病気になると判断力が低下しやすい>
がん告知のショックはたいへんなものだと思います。
誰でも判断力が低下してしまうでしょう。
焦りや不安を落ち着かせるために「すすめられたものは何でも買っておこう」という心理にもなりやすいようです。
私自身もアトピー性皮膚炎や難治性痒疹という皮膚疾患に悩み続けて、不当に高額なもの(薬ではなく、ただのお茶 3万円)を買ってしまった経験があるので、よくわかります。
このような、弱みにつけ込むような商売は、人としてやってはいけないことです。
高額な商品だけをすすめるサロンにも、そんなサロンを紹介する病院にも問題があると思います。
<脱毛が始まると焦ってしまう>
「治療が始まったらすぐに大量に脱毛し始めたので、早くウィッグを買わなくちゃと焦ってしまって、比較検討をする間もなく高額なウィッグを買ってしまった」という話を聞きます。
実際には「医療用ウィッグ」の認定をきちんと受けている商品でも数万円から購入できるものがありますし、経済的負担を少なくできるレンタルサービスもありますので、紹介先へ行く前にネットで検索していただきたいと思います。
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ただでさえ入院と治療にお金がかかるのですから、比較検討をしたうえで、後悔のないようにしていただきたいと思っています。
<ウィッグを使わない選択肢もある>
最近、”坊主女子”なる人たちが注目されています。
脱毛しても、ありのままの自分の姿を受け入れようというアクションを起こしている人たちです。
これはまだまだ見た目が若い人だからできることだろうと思いきや、私の友人のお母さまは、完全に脱毛してからウィッグなしで過ごしていたそうです。
「外出する時は帽子をかぶっていました。
治療が終わって半年くらいしたら、ベリーショートだった時の加藤登紀子さんくらい生えてきましたよ」
とのこと。
このように、必ずしもウィッグが必要とは限らないということも、お伝えしておきたいと思います。
■「医療用ウィッグ」とは、JIS認定を受けたものです
2015年から、医療用ウィッグにはJIS規格が定められています。
この規格では、直接頭皮に接触するネット部、スキンベース部、インナーキャップ部等のパッチテストによる皮膚刺激数・ホルムアルデヒドや、洗濯による堅ろう度と汗による堅ろう度の性能や試験方法などを細かく定めています。
この規格基準を満たしたものには医療用ウィッグのマーク↓がついています。
医療用ウィッグは治療を終えた後もファッションウィッグとして使うことができます。
完全に脱毛するとウィッグがぶかぶかするので、内側のネットを糸で詰めてサイズ調整を行います。
治療が終わって髪が戻ったら、もとのサイズに戻して使うことができます。
「一時的に使うものだから何でもいい」ということではなく、ご自身にとって違和感のない色・スタイル、しっくりくるものを見つけていただきたいです。
「私らしさ」を感じられることが、メンタルケアにもつながることを願っています。
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